ミラ・ケリー「前世を超えて」を読んだ感想と概要

本書(株式会社 ナチュラルスピリット)では、筆者自身やクライアントの前世治療(退行催眠)を通じてのさまざまな気づきや考察が非常に興味深く語られています。前世は一直線ではなかったこと、複数の自分の意識が同時に存在していること、ハイヤーセルフと対話することの重要性、時間は柔軟であること、自分自身と他者を許す、などが記されており、それぞれの章にはエクササイズが載っています。

ミラ・ケリーさんはブルガリアで生まれ育ちました。13歳の時にブライアン・ワイス博士の「前世治療2」を読み、彼のクライアントが現在抱える困難な課題が、前世とどのように繋がっていたかが判明することで解決していくことに魅了されました。ブルガリアは共産主義で、生まれてから宗教やスピリチュアルな話題にいっさい触れたことがなく、もしかしたらという思いで本の内容に沿って自ら前世治療を行ったところ、過去生に繋がることができました。その後、アメリカの大学に進学し、法学部の大学院を出てからニューヨークで弁護士として働きました。歯の治療をきっかけに首のひどい痛みに1年以上苦しんだことがあります。最終的に地元の催眠治療のセラピストに出会い、たった2回のセッションで完治する経験をしました。その後、前世治療に関連する知識を本やセミナーを通じて吸収し、家族や友だち、更にはクライアントに治療を施しながら自分の可能性を再認識したことで、本職を弁護士から前世治療家へ切り替えました。

退行催眠によりクライアントを深いトランス状態へ導きますが、最初に脳波が通常の覚醒状態であるベータ波からリラックスした状態であるアルファ波へ移行します。そこからガイダンスに従ってシータ波かガンマ波へ移ります。シータ波では非常に深いレベルの学習や癒し、成長が起こる状態です。またガンマ波では万物との一体感が得られ、存在そのものの本質を先天的に知っており至福の状態です。

最初のクライアントはジョンで、20代半ばの独身男性でした。最初の前世では1910年に生まれ、ニューヨークに住みながら銀行マンとして成功しましたが、妻に先立たれたことで孤独感にさいなまれ、1978年に自殺してしまいました。彼はガイドと共に次の人生を計画し、直ぐに生まれ変わることを決意しました。そして1950年に生まれ、ニューヨークで暮らし、最後はカリフォルニアの老人ホームで90歳(2040年)で亡くなりました。単調な生活を送ったことで時間を無駄にしたとの思いにより、今度は1946年にテネシー州に双子の妹と共に生まれ、大学時代に交通事故で1967年に亡くなってしまいました。ジョンは1910年から2040年までの130年間にそれ以外の人生を含め6回生まれ変わっていました。これらの体験が意味することは、時間は不連続であり、現在・過去・未来はこの瞬間に同時に存在していることでした。ですからすべての人生は今この瞬間に、常に起こっていると同時にすでに完結しているのです。

ミラ・ケリーさんがブライアン・ワイス博士のワークショップで、集団退行催眠を受けたときのことです。ナチス・ドイツの時代に医学を学びながら、スパイにリクルートされたロシア人女性である自分を見ていました。この風景は前回のセッションでも経験したことがあり、最後は拷問により死亡しています。今度はリクルートを断り、客先乗務員として機内に搭乗してロシア語を話している自分がいました。つまり同時に可能性として存在する二人の人生を経験していました。カリラは弁護士として成功を収めましたが、少し後悔の念がありました。本当にやりたかったのはダンサーでした。彼女は退行催眠では別の人生であるダンスのレッスンを受けていました。歌も習い、多くのショーをこなして自分を表現していました。そして結婚しましたが、弁護士の時とは違う夫でした。

ある女性のクライアントは、広大な土地を所有する廐舎(馬が飼育されている建物)の男性の経営者だった時の人生を見ました。領主の妻に乗馬のために馬を貸し出しましたが、落馬して死んでしまいました。彼は責任を問われて処刑されました。この人生を振り返る中、自分が経営者と死んだ女性の両方であることに気づきました。またある男性のクライアントは、暴力的で堕落した欠点だらけの男性の人生を経験しました。そのような自分を常に愛し、いたわってくれる女性と結婚していました。セッションの中で夫も妻も自分であることが分かりました。このようにオーバーソウル(高次の自分の魂)から分離した魂の片割れが同時に存在することをこれらの事例が示唆しています。

時間のない次元では、創造は瞬時に起こります。私たちの魂は数々の世界を瞬時に創り出しています。地球では時間は絶対的に見えますが、本来は直線的でありながら同時に平行的なのです。私たちは時間を操作し、遊ぶことができます。ミラ・ケリーさんは時間にとても厳格で腕時計をいくつも持って生活していましたが、ある時を境にそれらを全て手放しました。ある日の朝9時から重要な会議がありました。今から外出し地下鉄に乗っても早くて9時15分に到着する時間です。そこで会議の15分前に到着しなさいと自分自身に指示を出しました。それから時計を見ずに現地へ移動したところ、8時45分に到着することができました。別のケースでは、出張を終え、大幅に遅れた飛行機が空港に到着しました。タクシー乗り場には50人ほどの乗客がイライラしながら並んでいました。不快感をあらわにしている周囲と無関係であるように振る舞うため、お気に入りの本を取り出して読み始めました。1ページを読み終えようとしたところで前を見ると、一人の女性しか並んでいませんでした。間もなく2台のタクシーが現れて直ぐに乗車することができました。

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